反応熱の種類について
反応熱の種類についてまとめます。
定義を抑えておかないと、問題に対応できないので覚える必要があります。
燃焼熱
1molの物質が完全燃焼するときに発生する熱量を燃焼熱と呼びます。
単位は$kJ / mol$
燃焼熱の例
1molの$C_2H_6$を完全燃焼させると1560kJの熱が発生するとすると、
$\displaystyle C_2H_6(気) + \frac{7}{2}O_2(気) = 2CO_2(気) + 3H_2O(液) + 1560kJ$
1molの物質という定義に従い、必ず燃焼の対象の物質の係数を1にするようにします。
生成熱
1molの物質(化合物)が、その成分元素の単体から生成する時、それにともない 発生・吸収する熱量を生成熱といい、KJ/molで表します。
生成熱の例
例1:エチレンの生成熱は
$2C(黒鉛) + 2H_2(気) = C_2H_4(気) - 52kJ$
これは、1molのエチレンを黒鉛Cと$H_2$水素から生成すると、52kJの熱を吸収するという意味になります。
例2:水の生成熱の熱化学方程式を文章題形式で求めてみます。
気体の水$H_2O$の生成熱を求めよ
単体から生成されることに注意して、まず化学反応式を書くと
$2H_2 + O_2 → 2H_2O$
生成熱の定義より、対象の生成物$H_2O$の1molあたりの熱量を求める必要があるので、2で両辺を割り。
熱化学方程式形式(=で結ぶなど)にします。
$H_2(気) + \dfrac{1}{2}O_2(気) = H_2O(気) + 242kJ$
溶解熱
1molの物質が大量の溶媒に溶ける時にともない発生・吸収する熱量を溶解熱といいます。
単位はkJです。
溶解熱の例
1molの水酸化ナトリウムNaOHを多量の水に溶解すると、46kJの熱を発生するとすると、その熱化学方程式は
$NaOH(固) + aq = NaOHaq + 46kJ$
aqはaqua(アクア(水))の略で多量の水という意味です。
中和熱
酸と塩基の各水溶液が中和して、1molの水が生じる時に発生する熱量を中和熱といいます。
単位はkJ/molです。
中和熱の例
塩酸(強酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)の中和熱が56.5kJの場合以下のように熱化学方程式を書きます。
$HClaq + NaOHaq = NaClaq + H_2O + 56.5kJ$
中身は強酸と強塩基の中和式ですね。
分解熱
1molの化合物がその成分元素の単体に分離するときに、発生・吸収する熱量を分解熱といいます。
単位はkJ/molです。
分解熱の例
例1:アンモニアを分解した時に、46kJの熱を吸収するとすると、熱化学方程式は
$NH_3(気) = \dfrac{1}{2}N_2(気) + \dfrac{3}{2}H_2(気) - 46kJ$
例2:1molのエチレンをC黒鉛と単体$H_2$に分解すると、52kJの熱が発生します、これを熱化学方程式にすると
$C_2H_4(気) = 2C(黒鉛) + 2H_2(気) + 52kJ$
式をみてわかるように生成熱と分解熱は化学反応式の矢印が異なるだけです。
水和熱
気体状態のイオン1molが水和する時に発生する熱量を水和熱と言います。
初版:2022/10/5
更新:2022/12/1(水和熱について追加した)